【Part 2】罠②:現場への丸投げ〜「あとは現場でよろしく」が引き起こす早期離職〜
経営者の皆様、お疲れ様です。株式会社オウエンタイの川内リョウです。
前回は、人がすぐに辞める中小企業が陥る罠の1つ目として、「条件だけの採用」がもたらす危険性についてお話ししました。本日は、2つ目の罠である「現場への丸投げ」について解説します。
多額の採用費をかけ、面接を重ねて、ようやく自社にマッチしそうな人材を採用できた。経営者や人事担当者にとって、内定承諾の瞬間は大きな達成感を感じるものです。しかし、ここからが本当のスタートであるにもかかわらず、多くの企業が致命的なミスを犯してしまいます。
それが、新入社員が入社した途端に「あとは現場の先輩に教わってね」「現場でよろしく!」と、育成やフォローアップを現場に丸投げしてしまうという罠です。
現在の中小企業の多くは、現場の従業員もギリギリの人数で日々の業務を回しています。自分の仕事で手一杯な状態のところに、突然「明日からこの新人をお願いね」と任されても、手取り足取り教える時間も心の余裕もありません。教育マニュアルも整備されていない中、先輩社員の「背中を見て覚えろ」という属人的な指導になりがちです。
その結果、新入社員はどうなるでしょうか。 「何をすればいいのか分からない」「誰に質問していいのか分からない」「忙しそうにしている先輩の邪魔をしたくない」という状態に陥り、職場で放置されてしまいます。期待に胸を膨らませて入社したにもかかわらず、放置されることで強い孤独感と疎外感を味わうことになります。
この状態が続くと、新入社員の心の中に「自分はこの会社に必要とされていないのではないか」「面接で聞いていた風通しの良い環境とは全く違う」という深刻な「入社後ギャップ」が生まれます。そして、早い人では数週間から1ヶ月程度で「見切り」をつけ、退職届を提出してしまうのです。
経営層は「最近の若者は忍耐力がない」と嘆くかもしれませんが、原因は忍耐力の問題ではなく、受け入れ体制の欠如にあります。
この罠を回避し、定着率を劇的に高めるための鍵は、計画的な「オンボーディング(組織への適応を促すプロセス)」の構築です。採用活動は、入社してもらって終わりではありません。新入社員が組織に馴染み、戦力として活躍できるようになるまでが採用活動の一環であると認識を改める必要があります。
具体的には、経営陣と現場の責任者が事前に連携し、「最初の1週間は何を教えるか」「1ヶ月後にはどうなってほしいか」という明確な育成計画を立てること。そして、業務の指導役とは別に、メンタル面のフォローを行う「メンター」を配置したり、経営層や人事と定期的な1on1ミーティングを実施して不安を吸い上げたりする仕組みを作ることが重要です。
「あなたを歓迎し、大切に育てていきたい」という会社の姿勢が伝わって初めて、新入社員は安心して力を発揮できるようになります。自社の受け入れ体制、現場任せになっていませんか?
次回は、いよいよ最後の罠である「理念の共有不足」についてお伝えします。

